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![]() ![]() 【トランジスタ技術2005年12月号】 『磁気センサ』 『電子部品選択&活用ガイド』第9回 |
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【リンクフリー】 私設研究所ネオテックラボ Neo-Tech-Lab.co.uk 【記載者】 私設研究所Neo-Tech-Lab.com 上田智章 【最終更新日】2013年02月07日【掲載日】2006年05月26日 |
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【目 次】【電子部品選択&活用ガイド第9回】「磁気センサ」 1) 【はじめに】 2) 【ホール素子】『動作原理』 3) 【ホール素子】『デバイスと回路』 4) 【ホール素子センサとスイッチ】 5) 【磁気抵抗素子(MRセンサ)】 6) 【ニッコーシの直流励磁差動型MRセンサ】 7) 【磁気コンパス用MRセンサ】 8) 【マグネティック・フラックス・ロックト・ループ法】 |
9) 【サーチコイル】 10) 【リードスイッチ】 11) 【磁性流体による着磁状態可視化シート】 12) 【フラックスゲート磁束計】 13) 【磁気インピーダンス素子(MIセンサ)】 14) 【プロトン磁力計】 15) 【スクイド(SQUID)磁束計】 ★スクイド(SQUID)磁束計に関しては別にもう少し詳細な記事が用意してあります。 |
【はじめに】磁気を検出する手段として良く知られ使われているセンサには、サーチコイル(磁気ピックアップコイル)、ホール素子、磁気抵抗素子(MRセンサ)、巨大磁気抵抗効果素子(GMR)、磁気インピーダンス素子(MIセンサ)等が挙げられます。それ以外 にもフラックスゲート磁束計、プロトン磁束計、光ポンピング磁束計、SQUID(Superconducting QUantum Interference Devices:超電導量子干渉素子の略でスクイドと読みます。)磁束計等の超高感度磁気センサがありますし、 また、磁性流体を使って着磁状態を可視化するシート、ローレンツ力で電子線の軌跡を観測する方法、リードスイッチ、 光磁気センサまで取り上げてもとても網羅することができない程、様々なセンサが開発されています。 磁気センサがこれほどまでに多様であるのも、磁気センサに少しの工夫を加えるだけで、電流センサ、回転数の検出、方位 検出、水位検出、物質の同定、紙幣の検出、疾患の診断や治療と言った様に、応用分野の広がりも大きいからです。 図1に主な磁気センサの種類とその感度域を示します。 【図1】磁気センサのダイナミック・レンジと種類 |
【ホール素子】『動作原理』ホール素子は、直流定電流を通流すれば磁束密度に比例した電圧を得ることができる良好な直線性を持った小型半導体磁気センサです。図2にホール素子の動作原理図を示します。ホール素子はインジウム・アンチモン (InSb)あるいはガリウム・砒素(GaAs)等の半導体で作られており、それぞれ1対の制御電流入力端子と電圧出力 端子を持っています。 半導体のx方向に一定の電流を流すと半導体の内部では電子は電流とは逆向きに流れます。ここで外部から y方向の磁界を与えると電子はローレンツ力と呼ばれる電磁力を受けます。過渡的には電子の移動方向が変わり 、 z方向手前面に電子が帯電し、z方向奥側には正に帯電したドナーが取り残される状態になります。そうすると z方向に受けた力に釣り合うような電界が発生し、電圧測定端子間に電位差が生じます。この平衡状態において は電流は直進するようになります。 ローレンツ力の向きは図3に示すように「フレミングの左手」の法則に従います。中指が電流の方向、人差し 指が磁界の方向とするとき、親指が受ける力の方向を示します。従って、磁界の方向が変われば、電界の向きも 変わり、出力電圧の極性が変わります。また、磁界の強さが変われば、電界の強さも変わり、出力電圧も比例的 に変化します。この現象は1878年、アメリカのE.H.Hall氏が発見したので、ホール効果(Hall Effect)と呼ばれて います。 【図2】ホール素子の動作原理図 【図3】「フレミングの左手」の法則 |
【ホール素子】『デバイスと回路』ホール素子の外観として、写真1に東芝製GaAsホール素子THS119,THS123, THS126, THS130を例示します。図4にホール素子を用いた磁気センサの回路を示します。このように通常のアプリケーションでは定電流駆 動回路や増幅器が必要になります。 【写真1】東芝製GaAsホール素子THS119,THS123, THS126, THS130 【図4】ホール素子を用いた磁気センサの回路 |
【ホール素子センサとスイッチ】写真2に示すHoneywell社のSS495Aはホール素子とともに増幅器等を組み込んだICで、5V電源供給だけで1ガウス当り3.125mVの磁気感度を有し、0ガウスで2.5Vを出力し、 ±600ガウスの範囲を測定することができるように設計されていますので、PIC等の ワンチップマイコンへのインターフェースが容易です。また、松下電器産業製DN6851,DN6852 はON/OFFスイッチとして使う用途のためにディジタル出力になっています。 【写真2】Honeywell社のホール素子磁気センサSS495A |
【磁気抵抗素子(MRセンサ)】磁気抵抗素子はMRセンサと呼ばれ、磁界によって抵抗値が変化することを利用した磁気センサです。ホール素子に比べ感度が良いのが特徴です。地磁気による方位検出や紙幣の磁気インクや磁性体の検出 等に使われています。写真3に様々なタイプのMRセンサの外観を示します。 【写真3】MR型磁気センサ |
【ニッコーシの直流励磁差動型MRセンサ】ニッコーシのMRセンサはユニークな磁気センサで、図6に示すように内部に磁気抵抗素子2個とともに磁石が内蔵されています。磁性体がセンサの近くを通過すると磁石の磁界が透磁率の大きな磁性体に引き込まれるため、 磁性体に近い方の磁気抵抗素子の抵抗値が増加します。増幅器を接続すれば非常に高感度な磁性体検出センサに なります。このセンサは紙幣の磁気インク検出に用いられているそうです。 【図5】ニッコーシの直流励磁差動型MRセンサの内部構造 【図6】ニッコーシの直流励磁差動型MRセンサの測定原理 |
【磁気コンパス用MRセンサ】磁気コンパス等の用途に使えるMRセンサとしてはHoneywell社のHMC1001,HMC1021S等があります。図7に示すように磁気抵抗素子を4個用いたブリッジを構成しているので、磁束密度の強さだけでなく、極性も計測することができます。 シリーズには直交した2個のセンサを組み込んで方位計測を可能にしたHMC1002やHMC1022もあります。図8にHMC1021Sを 使った評価用回路を例示します。HMC1021Sは検出磁界範囲が狭い場合はほぼ磁界に対して直線的な変化をしますが、実際 の特性は図7のような特性で広範囲の磁界を高精度に検出する用途にはそのままでは使うことができません。 【図7】Honeywell社HMC1001の内部回路、ピン配置、磁気感度特性 【図8】Honeywell社HMC1021Sを使った磁気センサの回路図の例 【写真4】Honeywell社HMC1021Sを使った磁気センサの写真 |
【マグネティック・フラックス・ロックト・ループ法】このような場合には図9に示す零位法(マグネティック・フラックス・ロックト・ループ法:FLL)という直線性を向上するための方法が用いられます。零位法とは、センサ出力を増幅した後、積分器に入れ、この電圧出力を 電流に変換してコイルによって測定磁界と反対向きの磁界を発生し、常にセンサ位置の磁界を一定値となるよう にネガティブ・フィードバックをかける方法です。このような方法によりコイルに流れる電流値と反磁界は比例 するので、積分器の出力電圧も磁界に比例するのです。零位法はMRセンサだけでなく、様々なセンサで直線性を 改善するために良く用いられる方法です。 【図9】マグネティック・フラックス・ロックト・ループ法:FLL (Magnetic Flux Locked Loop法) |
【サーチコイル】サーチコイルは、図10に示すようにコイルに鎖交する磁束が変化すると誘導起電力が生じることを利用している磁気センサです。従って、直流(DC)磁界を検出することはできませんが、交流(AC)磁界の周波数を検出する場合など に使います。 【図10】サーチコイルの動作原理図 【写真5】サーチコイルの写真 |
【リードスイッチ】リードスイッチは図11に示すように、2本の強磁性体リードが適当な接点距離で相対した状態でガラス管に封入されたものです。外部からリードの軸方向に磁界が印加されると、リードが磁化して相対している接点が引き合い、 接触して回路が閉じます。外部の磁界を消せば、リードの弾性により接点は元の位置に戻り、回路は開きます。電気 的な接点寿命は1000万回程度です。 リードリレーにもリードスイッチが内蔵されているので、単体のリードスイッチと同様に外部磁界にも感応します。 リレーとしてだけでなく、センサとしても使うことができます。磁石を近づければ接点が閉じることを確認することが できます。しかし、このことは「リードリレーが意図せずに外部磁界で誤動作をする可能性があるリレーである」と いうことを示しています。 【図11】リードスイッチの構造 【写真6】リードスイッチ 【写真7】リードリレー |
【磁性流体による着磁状態可視化シート】磁性流体とは、図12に示すように直径10nm(ナノ・メートル)程度のマグネタイトやマンガン亜鉛フェライト等の磁性超微粒子に界面活性剤を吸着させて層を作り、界面活性剤層の相互反発とブラウン運動による分散により凝集する ことなく安定な分散状態を保つように工夫された複合材料です。写真8に示すように磁性流体を封入し、着磁状態を直接 目で観測することができるシートがあります。このシートは磁気の強いところが黒く見えます。 【図12】磁性流体の構造 【写真8】磁性流体による着磁状態可視化シート。マグネティック・ビューワー |
【フラックスゲート磁束計】フラックスゲート磁束計は非常に高感度な磁気センサとして知られています。以前は3軸磁気コンパスのキットも販売されていましたが、現在は高価な計測機器としてしか購入できないようです。しかし、基本的に購入困難な材料 を使っていないので容易に製作することができます。 図13に最も一般的な構造とその原理を示します。励磁コイルとピックアップコイルがトロイダルコアに巻かれた 構造です。励磁コイルにコアを飽和させるのに十分な電圧振幅の矩形波を印加すると、コアが不飽和な領域では電流 は直線的な増減をしますが、コアが飽和する領域ではインダクタンスが減少するために大きな電流が流れます。この 電流スパイクの位置は外部磁界が零であればデューティーサイクル50%ですが、外部磁界によって電流スパイクの 位置が変化します。例えば電流スパイクの正と負のパルスでPWM変調をかけ、ローパスフィルタを通せば外部磁界に 対応する信号が得られます。さらに高精度に外部磁界を測定するためには例えばこのPWM出力を使って常にデューティー サイクルが50%となるようにトロイダルコアにバイアス磁界をフィードバックする零位法を用います。トロイダル コアにピックアップコイルを2組用意し、互いに90度の角度になるように配置すれば磁気コンパス(方位計)を構成 することができます。 フラックス・ゲート磁束計は環境磁界を測定するのには適していますが、磁場源が近くにある場合には磁界のコア への引き込みを考慮しなければならないケースがあり注意を要します。 また、フラックス・ゲートは磁気ヒステリシス曲線を挟んで飽和域付近まで磁界を印加しなければならないので、 原理的にどうしても帯域幅は狭くなってしまいます。DC磁界から最大数kHz位までしか測定することができません。 【図13】フラックス・ゲートの動作原理 |
【磁気インピーダンス素子(MIセンサ)】MIセンサとして知られる磁気インピーダンス素子は、1993年に名古屋大学の毛利佳年雄教授が発見したMI効果に基づく磁気センサです。トランジスタ技術2003年12月号で詳細が掲載されています。 図14に動作原理を示します。アモルファス・ワイヤの磁区構造はスピン(磁気モーメント)構造が周方向に並んだ特殊 な構造をしています。状態Aのように外部磁界が無く、高周波電流が流れていない状態で周方向に並んでいたスピンは状態B のように外部磁界がかかるとねじれます。この状態で高周波のパルス電流が流れると、パルス電流による円周磁場が発生し、 スピンの向きが大きく変化します。インピーダンスの虚数項に着目した独自の電子回路により磁界の極性も検出できる特徴 を備えています。 素子自体は直径20μmのアモルファスワイヤ(ワイヤ自体はユニチカ製)と3次元的に形成したコイルで構成されています。 携帯電話等で電子コンパスを実現するために電子回路が一体化した直交2軸のMIセンサモジュールAMI201が開発され、アイチ・ マイクロ・インテリジェント株式会社が販売しています。 写真9に示すように筆者も購入して評価してみました。±2ガウスの範囲を検出することができます。モジュール単体では 出力に高周波パルスノイズが残留しているので、外付けローパスフィルタ(LPF)で減衰させて使います。AMI201のパッケージは ハンダ付けが困難なので、AMI201-DIP6という2.54mmピッチに変換されたモジュールが便利だと思います。 なお、余談ですが、十数年前にはユニチカからこのアモルファス・ワイヤーを購入することができましたが、一時期はユニチカ と愛知製鋼間の契約により購入することはできなくなっていました。このためアモルファス・ワイヤを使ったセンシングの研究が、 行えない事態に発展していました。しかし、その契約も今は切れ購入することが可能になっています。 【図14】MIセンサの構造と動作原理 【写真9】MIセンサ評価回路と残留回路ノイズ |
【プロトン磁力計】プロトン磁力計は、核磁気共鳴(NMR)の周波数が外部磁界に比例することを利用した高精度磁気センサです。プロトン(水素原子)を多く含んだ灯油(ケロシン)あるいは水が入れられた非磁性の容器の周囲に巻かれた コイルに直流電流を流して励磁を行うと、プロトンのスピン(磁気モーメント)の方向が同じ向きに揃います。 直流電流を切ると励磁用磁界は消失し、プロトンは外部磁場の方向に沿ってラーモア歳差運動(コマの首振り運動) を行いながら徐々に減衰して、各スピンはランダムな方向に緩和されていきます。このとき、コイルに発生する 微弱な交流電圧を増幅してその周波数を求めることにより外部磁界の強さを測定することができるのです。 励磁を直流でなく、共鳴周波数の交流パルスに改良されたオーバーハウザー磁力計は商品化されています。 また、医療分野で普及しているMRIでは0.5テスラ以上の強磁場を使い、大きな空間磁場勾配によって空間分解 能を高める技術が採用されています。 【参考URL】 プロトン磁力計を製作してみようと思う方はこのページが参考になるかもしれません。回路図やブロック図等が掲載されています。 http://hometown.aol.com/alka1/ProMag.html (BUILD A PROTON PRECESSION MAGNETOMETER) 高精度プロトン磁力計の製作 【図16】プロトン磁力計の動作原理 【写真10】プロトン磁力計 |
【スクイド(SQUID)磁束計】超電導リングに2個のジョゼフソン接合を持った素子はDC-SQUID(Superconducting QUantum InterferenceDevices)と呼ばれ、現在最も高感度な磁気センサとして使われています。素子自体は超電導状態になる温度に 冷却する必要があるため、デュワーと呼ばれる容器に液体ヘリウムや液体窒素を入れ、冷却しながら使います。 数μAから数十μA程度の適切な直流バイアス電流をDC-SQUIDの超電導リングに流すと、リングに鎖交する磁束Φ に対して、極めて精確な周期性の電圧がリング両端に発生する性質(Φ-V特性)があります。この電圧の周期は 非常に精確で磁束量子Φ0で与えられます。磁気感度は4fT/√Hzのものがあり、人間の脳や心臓内を流れる 微弱な電流が発生する微弱な磁界を非侵襲的に体外から捉えることができます。虚血性心疾患の診断に使える日 がくるかも知れません。 SQUID自体は周期性の非線形な素子であるため、線形化するために図17に示すように零位法の電子回路 (FLL:Flux Locked Loop)が用いられています。従来のSQUIDは非常に高感度な磁気センサではあるが、測定可能 レンジが非常に狭い(3φ程度)という欠点がありました。この欠点は近年、ドイツのPhysikalisch-Technische Bundesanstalt (PTB)に所属するドラング(Drung)氏によって克服されました。以前の電子回路はΦ-V特性曲線 の一点に固定して測定するものでしたが、Φ0周期を超えるとロック点を隣の周期にずらして、跨いだ周期の カウント値と、1周期内の相対的位置を分離して管理するディジタル化が行われました。 SQUID磁束計について『超電導量子干渉素子と心磁計』[詳細情報] 【捕捉事項】現在の情報処理型電子回路技術にはセンサデバイスのジョンソン・ノイズの壁を克服できる方法があり、 Neo-Tech-Labは現在これを利用した常温動作デバイス(冷却不要)の心磁計(100fT/√Hz)を研究開発中です。これには 3次元アクティブ磁気シールド技術、PDM A/D, D/A技術も必須です。 【図17】DC-SQUID磁束計の動作原理図 【写真11】SQUID(スクイド)磁束計(写真はトリスタン製高温超電導SQUID) ★高温といっても液体窒素で冷却が必要です。ちなみに低温の方は液体ヘリウムで4Kに冷やさなくてはなりません。 ★SQUIDは都市の環境磁気ノイズに非常に弱いという欠点があります。 電磁波にも弱いので磁気シールドや電磁気シールドは必須です。 |
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【参考資料】【電子部品選択&活用ガイド第9回】「磁気センサ」 |