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![]() ![]() 【トランジスタ技術2006年3月号】 『電流センサ』 『電子部品選択&活用ガイド』第12回 |
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【リンクフリー】 私設研究所ネオテックラボ Neo-Tech-Lab.co.uk 【記載者】 私設研究所Neo-Tech-Lab.com 上田智章 【最終更新日】2013年02月07日【掲載日】2006年06月02日 |
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【目 次】【電子部品選択&活用ガイド第12回】「電流センサ」 1) 【はじめに】 2) 【抵抗を使う電流測定方法】 3) 【4端子法で電流を電圧に変換する方法】 4) 【カレントループによる情報伝送と負荷電流測定方法】 5) 【電流変換抵抗と損失】 6) 【抵抗とOPアンプで電流を測定する】 7) 【微弱電流を電圧に変換する方法】 8) 【電流/電圧変換器のアプリケーションにおける注意事項】 |
9) 【赤外線脈波センサ】 10) 【ホール素子を用いた電流センサ】 11) 【大は小を兼ねる】 12) 【事例紹介】 13) 【カレント・トランス】 14) 【電流リミッタ】 15) 【ロゴスキーコイル】 16) 【電流測定用IC】 |
【はじめに】電流センサは、有効電力や力率測定、交流磁界制御、電気化学計測、フォトン検出、スーパーキャパシタや2次電池の充放電電流の監視と制御、金属の探知など様々な計測アプリケーションで幅広く利用されています。他の物理量を調べることが目的で電流測定はその手段として利用される ことが非常に多いのです。本章では『電流センサを紹介する』というよりは、むしろ『電流を検出する手段としてどんな方法が使われているのか』 を紹介する方がふさわしいのではないかと思います。抵抗を用いる方法、ホール素子と磁性体を組合わせた電流センサ、カレントトランス等につ いて解説します。 電流検出方法を表1にまとめました。多くのアプリケーションで電流を測定するために使われている方法は概ね抵抗を使う方法と磁界を使う方法の 2通りに大別されます。本章では主な電流測定方法の原理や構成について説明した後で、幾つかのアプリケーションを取り上げて説明します。 ![]() 【表1】電流検出方法 |
【抵抗を使う電流測定方法】図1に示すように電流経路に直列に抵抗Rを接続し、抵抗両端の電圧Vを測定すると電流Iはオームの法則(V=RI)に基づいてI=V/Rより求めることができます。抵抗値を大きくすれば両端に発生する電圧も大きくなって測定には便利なのですが、大電流が 流れるアプリケーションでは抵抗で発生する熱P=RI^2も大きくなってしまうので、通常はシャント抵抗と呼ばれる100mΩ以下 の抵抗を用いて、電圧を計装用アンプ等で増幅して測定することが多いです。 図1の注意事項に示すように、電源電圧Eから負荷電圧降下分ZIを減じたE-ZIよりも電流測定抵抗の電圧降下RIの方が小さ くなければなりません。さらに温度によって抵抗値も変化しますので注意が必要です。また、高周波の電流は表皮効果の影響を受けて 導体深部には流れにくくなります。周波数に注意する必要があります。配線のインダクタンスLの影響にも注意する必要があります。 ![]() 【図1】抵抗を使う電流測定方法 |
【4端子法で電流を電圧に変換する方法】図2a)に示すように電流経路中に入れる負荷電流測定用の(一般に低抵抗値である)抵抗をシャント抵抗と言います。シャント抵抗の両端電位差を測定するために、電流経路と同じ配線を使うと、電流が大きな場合には配線抵抗による 電圧降下が無視できない程大きくなってしまうので、大きな計測誤差を発生する場合があります。前述したように、 負荷電流が大きければ大きい程、電流測定用抵抗の放熱量を抑えるために小さな抵抗値のものが選ばれるために配線 抵抗との差が小さくなり、この傾向が顕著になります。 4端子法は図2b)のように電流経路と電圧測定経路を分離することによって、電圧測定経路には計装用アンプの入 力バイアス電流しか流れなくなるため大きな測定誤差を回避することができる方法です。電流が小さい場合や誤差が 問題にならない場合は通常の2端子のシャント抵抗やメタルクラッドが選ばれますが、4端子法による電流測定専用 の抵抗も製造されています。 株式会社ピーシーエヌは、RH-10E4、RH-50ML、RH-100M4、SMVシリーズ、PBVシリーズ等の多様な4端子のシャ ント抵抗やメタルクラッドを製造しています。大電流を測定する場合には熱損失の放熱を考慮したRH-100M4等が適し ています。アルファエレクトロニクスのPSBタイプもあります。 ![]() 【図2a】悪い計測例 【図2b】4端子法 |
【カレントループによる情報伝送と負荷電流測定方法】図3に示すようなカレントループによる情報伝送法ではケーブルに流れる電流を測定することで配線抵抗の影響を受けることなく、アナログ量の長距離情報伝送を行うことができます。伝送距離が数100mを超えるアプリケーション でも小規模な電子回路で実現できるので温度測定等のアプリケーションで使われています。 抵抗を用いる負荷電流測定方法としては図4に示すような方法を用います。例えば2次電池の充放電電流の測定で 使われています。 ![]() ![]() 【図3】カレントループによる情報伝送法 【図4】負荷電流の測定方法 |
【電流変換抵抗と損失】図5a)に例示した電圧/電流変換器は一般的な回路ですが、制御電流のモニター機能がなく、電流精度も用途によっては不十分です。電流変換抵抗の抵抗値も大きいので、1A流すと20Wも発熱することになってしまい、効率も悪い欠点が あります。 2次電池の高速充放電試験や磁界発生用インダクタンスを駆動する場合等には図5b)の回路が便利です。積分器、駆動 アンプ、シャント抵抗、計装用アンプからなり、積分器入力へのネガティブ・フィード・バックによって制御誤差の累積値 が零となるように制御されています。電流制限抵抗値を100mΩ以下にできるので、1A流してもこの例では損失は0.1Wに とどまります。 ![]() 【図5a】電圧/電流変換器 【図5b】高精度な電圧/電流変換器 |
【抵抗とOPアンプで電流を測定する】微弱な電流を測定する用途では図6に示すような電流/電圧コンバータが利用されています。計測しようとする電流値に比べて入力バイアス電流が無視できる程小さなオペアンプを使用します。高い変換精度が必要な場合には写真2に示すよう な高精度抵抗を使います。 ![]() ![]() 【図6】電流/電圧コンバータ 【写真2】高精度抵抗 |
【微弱電流を電圧に変換する方法】ポータブル血糖計や溶存酸素濃度計など様々な化学計測分野で用いられているポテンショスタットの原理図を図7に示します。ポテンショスタットはリファレンス電極、カウンター電極、ワーキング電極の3電極を用いた最もポピュラーな 電気化学測定法です。直流バイアス電圧印加時にワーキング電極に流れる微弱電流を測定します。この微弱電流を電圧信号 に変換するために図6の抵抗とオペアンプからなる電流/電圧コンバータを用います。何回も計測を繰り返すためには、 電極に逆バイアス電圧を一定時間印加して電極表面をリフレッシュする必要が生じる場合があります。 ![]() 【図7】ポテンショスタットの原理図 |
【電流/電圧変換器のアプリケーションにおける注意事項】図6の電流/電圧変換器のアプリケーションの事例として光電子増倍管(PMT : PhotoMultiplier Tube)の陽極電流や、フォトダイオードの光電流を測定する場合なども挙げられます。オペアンプのオフセット電圧や変換抵抗の精度以外に この回路の設計で注意するべき点は、図8a)に示すようにプリント基板の絶縁抵抗と近接する電源ライン等の電圧に よっては漏れ電流の影響を受ける場合があることです。このような場合、図8b)に示すようなシールデッドガードや、 テフロン等の絶縁抵抗が非常に大きいプリント基板材料の選択等の対策が必要になる場合があります。 ![]() 【図8a】近接回路の漏えい電流 【図8b】シールディッド・ガード |
【赤外線脈波センサ】実施例として図9に赤外線脈波計の回路を示します。赤外線脈波計は、血液中のヘモグロビンが赤外線吸光特性を持ち、骨以外のその他の生体組織の近赤外線透過性が良いことを利用して、脈拍に対応した動脈管径の変化を検出するものです。 赤外線LEDが発した赤外線は体表面から組織内を透過して骨で乱反射されて再び体表面に戻ってきます。途中の経路上に 動脈があると脈拍に応じて赤外線の吸光度が変化するので脈波が計測できます。 動脈血酸素濃度や血糖値に依存して吸光度の変化が著しい波長を選択することで様々な応用がなされています。 図9の回路はPICマイコンに直結することができるように2.5V中心にダイナミックレンジが0Vから5Vの範囲になるように 設計しています。写真3a)が図9に対応する部分です。写真3b)、c)に脈波の計測波形を例示します。 ![]() 【図9】赤外線脈波センサの回路図(5Vマイコン用) ![]() 【写真3】赤外線脈波センサの写真と実測波形の例 |
【ホール素子を用いた電流センサ】大電流の計測を行う場合にはシャント抵抗では発熱の原因になり、放熱板や冷却ファン等の対策で装置が大型化してしまう欠点があります。また、LCR直列共振回路の負荷電流測定を行うような用途でシャント抵抗 を用いると、Q値に影響を与えてしまい、回路の特性を変えてしまう結果を招きます。 このような場合には、図10a)及びb)に示すようなホール素子と一部に切込みのある環状の磁性芯を組み 合わせたセンサを用います。このような方式はホール素子型電流センサと呼ばれています。電流測定対象の 導線内を流れる電流が発生する磁束は高透磁率材料で作られた環状の磁性芯(鉄芯やフェライトコア)に引き 込まれます。従って、磁性芯の切込み部には導線内を流れる電流に比例した磁束が集中します。ホール素子 でその磁界を捉え、電圧に変換することで電流を計測することができます。 Honeywell社のCSLA1CFやタムラ製作所のL01Zシリーズのような構造の電流センサは貫通型と呼ばれ、環状磁性体の穴に負荷電流を測定するケーブルを通して使います。タムラ製作所のL10Pシリーズのように電流測定ラインを予め組み込んだオンボードタイプもあります。 【タムラ製作所のカタログライブラリー】http://www.tamura-ss.co.jp/catalog/index.html 【零位法(平衡型)】磁界の強さが大きいと磁性芯が飽和してセンサ出力の直線性が損なわれるので、図10b)のようにセンサ出力にネガティブ・フィード・バックをかけて常に磁性芯内の磁束を零に保つ零位法を採用したクローズド (閉)・ループ方式のセンサもあります。このタイプのセンサはダイナミック・レンジが大きい特徴があります。 ![]() 【図10】ホール素子を用いた電流センサ |
【大は小を兼ねる】ホール素子を用いた貫通型センサは、基本的にアンペア・ターンを計測するので、図11a)のようにターン数を増やすことで、弱い電流を計測することができ、測定レンジを変更することができます。オンボードタイプでも 予め何本かの電流測定ラインを組み込んでおき、結線パターンによって測定レンジを変更することができるマルチ レンジタイプがあります。例えばLEM社のHXSシリーズでは図11c)のように結線変更することによって 測定レンジを変更することができます。 ![]() 【図11】ホール素子型電流センサ |
【事例紹介】RLC直列共振励磁回路の負荷電流測定を行うためにシャント抵抗を入れると図12に示すように共振周波数の電流振幅が変化する結果となります。系に影響を与えることなく負荷電流を測定する場合にはホール素子型電流センサが 適しています。写真5のように殆どの製品で電源供給とバイパスコンデンサだけで使うことができます。 ![]() 【図12】ホール素子型電流センサの応用事例 ![]() |
【カレント・トランス】図13に示すようなカレント・トランスと呼ばれる方式があります。交流電流の測定にしか使うことはできませんが、高周波まで測定できる特徴があります。市販のトロイダル・コアを用いて製作することも容易です。電流測定ラインを 流れる電流Iによって発生する磁束が環状コアに引き込まれるので、環状コアに巻かれたnターンの2次側コイルと抵抗 Rsからなる閉回路に流れる電流Isと電流IはI=n・Isの関係があり、抵抗両端電圧Vsを測定すれば電流Iを I=n・Vs/Rsで導出することができます。 ![]() ![]() |
【電流リミッタ】図14にカレントトランスを電流リミッタとして使う場合の事例を示します。計測という観点では、ダイオードの半波整流は好ましい方法とはいえませんが、整流回路で直流レベルに変換して一定以上の 電流負荷をマイコンで検出するだけなら下の方法でも十分だと思います。 ![]() ![]() |
【ロゴスキーコイル】鉄塔等に取り付けて雷サージ電流を計測する用途に使われているロゴスキー・コイルと呼ばれる方式があります。図14にロゴスキーコイルの構造を示します。このコイルは遠方で発生した外部磁界成分を打ち消す性質があるので ノイズには強いのですが、そのままでは電流の微分値(磁束の時間変化)しか計測できないので、電流値を求めるには 積分器と組み合わせる必要があります。 ![]() |
【電流測定用IC】National Semiconductor社のLM3824MM-2.0は、シャント抵抗とデルタ・シグマ変調器等を内蔵した特殊なICです。PWM出力なのでマイコン側にカウンタがあればA/D変換器がなくても電流測定を行うことができます。 2値出力なのでフォトカプラを使って電気的絶縁も可能です。あるいはLPFを通して直流成分を取り出し、A/D変換する方法もあります。 【データシート】http://cache.national.com/ds/LM/LM3824.pdf また、IR社のIR2171、IR2172という電流検出用ICはシャント抵抗は外付けとなっており、 入力±260mVの範囲をキャリア周波数40kHzのPWM出力に変換することができるので、入力レンジに自由度があります。 入力が600Vまでフローティング(絶縁)されているので、高圧のIGBT出力負荷に直結することができます。 |
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【参考資料】【電子部品選択&活用ガイド第12回】「電流センサ」 |